2つのサービス
サービスには2つの考え方があります。
モノのサービス と ヒトのサービス です。
モノのサービスとは、日本的な内装を施した古民家型宿泊施設、Iot技術を利用したスマートロック、緊急対応にはタブレットを利用して、入口付近に付けた監視カメラで遠隔監視。つまり設備やハード面の要素を重視したサービスです。
これに対して、「おもてなし」こそがヒトのサービスです。
旅先で出会った日本人の●●さんとの交流、百貨店、空港、駅構内で受けたちょっとした気遣いや対応が記憶に残ります。
トラブルに遭遇した、体調を崩した、大地震が来た。
いざという時の対応が、「タブレットに向かって」で十分な対応はとれますか?
日本式銭湯に連れて行ってもらった。
近くの赤ちょうちん居酒屋を教えてもらった。
流行りの一発ギャグを教えてもらった。
深夜に一緒に行った地元ラーメン店で「替え玉」の注文の仕方を教えてもらった。
ちょっとした事ですが、旅人にとって記憶に残る旅、また泊まりたいと思う「宿」になるのです。
改正旅館業法施行令では、簡易宿所10名以下のフロント設置基準も緩和されましたが、これこそがお客様(滞在者)との交流の場であり、日本人が今まで追求してきたヒトサービスを提供できる場なのです。
客室数の多いホテルでは、滞在者全員と交流をはかるのは難しいですが、10人程度なら可能です。
独自のアイデアで!
全ての宿泊施設にフロントが必要とは言いませんが、民泊サービスに足りないものは「ヒトのサービス」だと思います。
技術進歩したモノのサービスを取り入れても、それだけではうまくいかない。
モノのサービスとヒトのサービスは両輪の関係で、どちらが欠けてもうまくいかないのです。
独自の考えで、ヒトのサービスを追求していく必要があります。
ヒトサービスの対象者は、滞在(宿泊)客だけではない。
例えば、民泊運営会社にとって、お客様満足(CS)の”お客様”には、家主(ホスト)、滞在者(ゲスト)に加え、”近隣住民”も含まれると考えます。
近隣住民からも歓迎されなければ、旅人(ゲスト)も不快な思いをするかもしれません。スーツケースを引きずってやっとたどりついた宿。近隣住民の通報によって退室を迫らせたらどうしますか?
ヒトサービスによって、問題解決につながる糸口が多く見つかるはずです。
※IoT:Internet of Thingsの頭文字をとってIot。あらゆるモノがインターネットに接続され、情報交換することによって相互に制御する仕組み
民泊サービスでもこの技術が注目されおり、利用者自身のスマートフォンで鍵の開閉ができるようになり、鍵の受け渡しの手間を省き、セキュリティー対策の強化に繋がる
~『民泊サービス』に足りないもの(上)~
~『民泊サービス』に足りないもの(下)~